「エンドロール」





 孤独をひとり、吐いていた

 現を思い出す波の音
 砂の城がさらわれる

 かじかむ指先は疲れ果てていた
 堤防なんてとうに失くしていた



 夜の始まりをわたしは知っていた
 目醒めよりもはやく
 あなたよりもはやく

 夜明けとともに星が還ることも
 滲んだわたしの海辺には
 骸ひとつ残らないことも



 ここにはもう
 何もないのに
 錆びた額縁にはまだ

 わたしがひとり、



 孤毒をひとり、吐いていた



 水平線だけがおそろしく静かに
 世界の平和を告げている





 20090418