「プラシーボ」





 知ってはいるけれど
 秒針を撫でてみる



 こどもみたいに
 どこまでも無垢に
 浅はかなぼくらは

 こんなときばかり
 おとなの言葉で
 群星を殺してゆく

 綺麗に塗られた爪先で
 隠したかったのは
 似たような嘘ばかりだった



 振り返らず進む針先は
 本当に前だけ見ているのか

 なんて、

 臆病に罹ったくちびるが呪う





 20090427