「ひとつの芽吹きが目指したもの」





 磨硝子のむこうから
 くすんだ陽が届いて
 わたしは息を継いだ

 抱くだけむなしいと
 教えてくれたけれど
 おぼえたての言葉のように
 それだけを繰り返している

 支柱に指をからませ
 必死に爪をたてて
 届かない場所に吠えて

 (声に出せばかなしいから
  くちびるだけかたちづくる)



 一途によごれながら
 二度と咲けないまま
 三回目の嘘を吐いた

 わたしと声が枯れるまで
 このきたない遊びは続くのでしょう





 20090428