「祈り手」





 合わせたてのひらの中
 夜をつくっては眺める

 生まれた温度が消えないよう
 まるで秘密のようにひそやかに



 意味が呼吸を思い出す頃
 このかなしい嘔吐もおわり

 ひたすらに青色を追った
 軽やかな季節に在れるよう

 今より近くで笑えるよう



 やがて解いた祈り手から
 証が秘密を守りながら消える

 わたしのつくった夜には
 星はひとつも見えなかった





 20090430