「テイク」





 焦げていく

 もう手指を伸ばせないくすぶりが
 ちりちりちりと飽きずに泣くから
 おしまいを告げてやれない
 わたしは優しくなんかない

 見えていく

 石英のたたえるひかりは小さくて
 とても触れられはしないのだけど
 信じていいよと言われたの
 空からの声かもしれないの

 晴れていく

 結末に無視を決めて仰いだものは
 わたあめのような夢ばかりだった
 喚いてひきちぎられたあと
 隙間で微笑むのはあなたと



 崩れていく

 枝葉の茂る巨木も小さなおうちも
 素敵なおしろも無骨な塔もぜんぶ
 同じもので出来た積み木なのだと

 いつまでも分からないわたしに
 慣れていくほどの静寂を下さい





 20090507