「檸檬水」





 透きとおっているはずなのに
 喉の奥でからまることば

 冷めた心と噎せる季節
 温度差にうかぶ滴を無視して
 伝わらなくていいと私が決めた

 うわずみを白く染めるだけの
 半端な甘さなら要らない

 どうせ乾いてゆくのでしょう
 それなら消えられる方がいいと
 夏の夜の夢に抱いた憧れが云う



 優しい距離に行けない

 だから香りを運んであげる

 いずれぬるんでいくとしても

 あなたが微笑ってくれればそれで





 20090715