「あやまち」





 吐き出せなかった言葉が
 喉の底から心を喰んでゆく

 生み落とした涙は腐っていた
 もうなにひとつ芽吹かない



 この目に朝がくるたび
 思い出に謝っている
 消えてしまうものだとしても
 身捨てることなどできなくて



 悔やむなら眠らなければいい
 ただひとつの真実を抱いたまま
 わたしはまた夢に溺れる

 幸せを 殺せなかった





 再録