「星座の話をしなくなった僕は」
宵闇に仄白く浮かぶ
さらりとした手に
月の輪郭にも似た皮膚に
まばたきの後 触れた
温もりだけが世界のすべて
ふたつの水面が揺れる意味なんて
誰も知ろうとは思わなかった
そんな秘密
知らない方が幸せだって
きっと誰もが知っていた
星座の話をしなくなった僕は
空に何を浮かべたいんだろう
いまさら
水面を揺らす風が欲しい
僕が息を止めさえすれば
もう泣かなくてもいいんだよ
って 言えたのに
再録
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