「結露」





 夜が窓辺で泣いていた

 そこに光が浮かぶのに
 わたしに届かぬ、抱けぬと

 艶消しの頬はつめたく
 ひっそりと静まり返り
 嗚咽をどこに隠したのか
 ただただ涙を滑らせる



 仄暗い輪郭ばかりを
 夢みるように閉じ込めて



 窓辺にもたれて泣いてみた

 背筋へひたりと寄り添われ
 羽根の名残がわずかに痛み

 疼くこころも夜になる





 再録