「オレンジペコー」





 今 ふつふつと溢れる西陽を
 あなたの長い睫毛に乗せたなら
 どんなにかわいいことでしょう

 頬をくすぐる優しい湯気は
 雲になる前に消えたので
 倣ってミルクは入れません

 喉に貼り付く甘さだけが
 思い出だとは限らないので
 倣ってお砂糖も入れません

 わたしの中でふくらんだ
 おかしな想像にクッキーを添えて

 オレンジペコーの一日が
 ゆっくりと暮れてゆくのでした





 20090907