「うそつき」





 熱を帯びた内に月を生み
 脈絡もなく脈拍を聴いた

 夢だけをみているからね
 私は未だなにも知らない

 熱を含んだ呼気をひとつ
 意味もなく意図に変えた

 これはいわゆる夢なのよ
 私は当面なにも知らない



 赤い赤い色の嘘月は
 遅刻したことを詫びるように
 ここへ来て泣き叫んでいる

 ああいつかいつの日にか
 本物の月が涙を零したら
 このわずらわしい痛みでなく
 幸せのかたちを知れるのかしら



 どうしたって結んでやれないよ
 ああいつかいつの日にかって
 思うことしかできないんだよ



 白い星を噛み砕いてあげる
 今は夜なんだから夢をみて

 なにも知らないままおやすみ





 20090915