「夢見がち病棟」





 ああどうすれば良いだろう
 暇など少しもない筈なのに
 手遊びをやめられない

 ああどうしたものだろう
 網膜は刻々と白んでゆくのに
 まぼろしばかり色香を孕む

 苦し紛れに開いたくちびるから
 やけに甘い色彩があふれる

 明日よりも遠い未来を見るようで
 今この瞬間も夢と笑みを交わす

 そうして創られたかたちは
 名を与える前に消え去って
 少しの未練も置いてはくれない
 だからあいた穴を塞げない



 下賤な飛沫をうつくしいと思うならば
 どうぞ成り代わってほしいものだ
 すっかり痛めた目と喉では
 もう誰に泣き喚けば良いかも分からない





 20091029