「余白に紅玉を」





 どこかとても遠い場所で
 てのひらの余韻たちがきえた

 最後のページを手繰るころ
 ぼくらの夜明けが見えた



 かぞえきれない瞳が今
 緞帳のひみつをずっと知らないまま
 めでたしめでたしと結んでゆくね

 けっして短くない後書きのうしろ
 見落とされそうなほど小さく
 けれどぼくらはそこに在ったよね



 どこかとても遠い場所の
 てのひらの余韻たちに続こう

 ついに清くなれなかった僕らの
 よこたわる先へ心から願おう



 僕らはめでたしめでたしでいいんだよ





 20091231