「群星ジレンマ」





 ひしめきあう呼吸のなか
 顔をあげて宇宙に立つ

 ぶつからないひかり
 寄り添わないひかり
 ここからは計り知れない距離
 きれいなものしか見えない

 ただひとつだけ
 温度のあるたましいが
 昇る 消える

 鋭い爪の生えた手指を
 そっと編んで
 どれだけ掬えるか考えた
 精一杯の祈りのかたち

 またひとつだけ
 温度のあるたましいが
 昇る 消える

 きみとぼくとが光年を越えた瞬間
 そこに見えるのはひかりだろうか
 傷つけないよう掬えるだろうか





 20100112