「ある日のことです」





 「美味しいことばかりが
  日常ではないのです」
 奇妙な歌を歌いながら
 クッキーを焼きました

 不格好な焦げ目たちへ
 「そんなこともあるでしょう」
 囁きかけてやりながら
 熱いうちに咀嚼しました

 私の日常もあなたたちも
 冷めてからの方が美味しいところ
 なんだか似ていて笑えてきます

 それでは残りはまた明日
 「美味しく冷めてくださいね」
 タッパーをひと撫でしてから
 冷蔵庫を閉めたのでした





 20100219