「月に背いて」





 きらめいたものたち
 いつからか厭わしく
 名残をばら撒いている

 乞いは帳の外へと捨てた

 薄い皮膚に通う熱と
 僅かでも同じものが
 かつてのわたしだったらしい、けれど

 なまぬるく拒んだところで
 秒針の足音は止まらずに

 隔てて経てひかりは戻ってくる
 もう眠りたい胸の中ほどへ
 きらめきを踏締めたその靴で



 さて、

 笑う下弦が矢を向けるのは
 わたしか 世界か




 20100223