「チェリィプール」





 届かないなら
 ここから伝えよう



 飛び込め
 芳香の渦へ

 誰もがいつか
 酸い面持ちのまま
 ときはなたれる

 吹雪いた白さは淡く
 生まれたての世界が透けるほど
 その幼い手のひらで
 色付いてゆくのを待っている

 鼓動が聞こえたら
 またたいて
 またたいて

 眩しさに順応しながら
 咲(わら)え



 緑を遠くに想うころ
 緑の遠さを偲ぶころ
 もう戻れはしないんだ




 20100327