「ワンルーム」





 あなたの残骸と
 狭いワンルーム



 階上から降ってくる歌を
 素直に受け止めるには
 思い出が多すぎたようで

 階下から湧きあがる春を
 確かに踏み締めるには
 ふくらはぎが柔すぎたようで

 桃色スカートだけがひそひそ
 あたらしい季節を喜ぶよ



 わたしの素足と
 広いワンルーム



 誰かがとなりに居なくても もう
 夜はあたたかくなってしまった




 20100407