「たとえばの話」





 初めて辿る物語の一行目のように
 泡が水面で消える瞬間のように
 右手の小指が鳴らすドの音のように
 陽も陰も遅刻した明け方の空のように
 何の温度も秘めない鳥籠のように

 やさしく、無知でありたいのです





 20100504