「五月馬鹿」





 哀しい哀しいありがとう
 どうせ嘘になるのなら
 綺麗な鳥よ鳴かないで

 思い出のコラージュが
 描いたとおりに色褪せる
 その時を待ちわびさせて

 疲れた声で云うわたしは
 もう半分溶けているのです
 あなたの魔法は切れたのです



 何度目の正直だと騙るの

 夢でだけ饒舌なその唇に
 とうとう手出しできなかった

 愛憎のタイムリープを
 重ねるたびに疼く傷
 それでもひとつずつ
 捨てるものが減ってゆく



 嘘つきが赦される季節
 そんなものとっくに終わったよ
 って、錆びながら鳥は鳴いた





 20100511