「ベンチ」





 届かない場所が繋がっていたって
 生きている場所は違うんだろう

 あの日のベンチは何処へいった

 まだ生きているというのに
 二人分の重みを忘れてやしないかい

 高望みの最先端
 ぐらついている足許の
 もっともっと下の方で
 君が書いた文字が手を振っている

 おもしろいほど揺れるよ
 僕と世界と、それから未来

 あの日のベンチは何処へいった

 もう隣りには座れないと見越して
 さっさと思い出にでも成ったのかい





 20100526