「感熱紙」





 量産型の日常

 意味を増して膨張する
 記号の濁流のなかで
 ひとさし指たちは生真面目に
 黒ばかりを漂わせていた

 コピーライトの嵐は今日も
 在るべき空白を水没させる

 そこでしか呼吸を許されないって
 だれも教えてくれなかったんだ



 ぼくらはただ

 生を知らせる鋭さを失くし
 陽に焦げた色へと変わり

 紙飛行機の作り方さえ
 いつしか忘れてしまっても

 ちゃんと息をしていたいだけなのに





 20100601