「詩」





 語り尽くされてきた
 素敵な言葉に用はないの

 刺々しく反発する舌を
 丁寧に赦してあげたいの

 黙って前を見続ける
 あなたの背中の強さ弱さは
 当り前なんて名前じゃないの

 世界がやさしくないのなら
 秒針と同じ正確さで
 せめて全部を聴き入れたいの



 枕に吸い込まれた溜息に
 名前をつけてあげるよ

 片付けられていく今日を
 ちゃんと記してあげるよ

 泣けない 泣かない
 大丈夫 それでいい

 ここにいる
 手を繋いでいるよ





 20100607