「ひとつなぎ」





 かつて
 この呼吸ひとつに求めた
 揺るがない証しらしきものが
 やさしく綻びはじめても

 たよりない繕いかたを
 泣きながら繰り返し

 わたしは環を目指している



 くたびれた手でもって
 増えてゆく蝶々たちよ

 褪せても心は堅いままか

 蜜を探して羽ばたく夢を
 ちゃんと見ているか



 いつか
 出逢えるはずの産声を
 仮糸ばかりで編まれた日々を

 また ひとしく愛せますように





 20100630