「ヒットエンドラン」





 夢をみたかい

 裂けた梅雨からあふれる
 金色の午後をいろどって
 諦めかけていた息を継いだら

 自由だ
 ぼくらは放物線になれる



 夕陽に穿たれた傷口を
 手当てできる人なんていない
 曝け出したってばれやしない

 泣き笑いが得意になったのは
 そういう理由なんだよって
 いまさら自慢にもならないから
 磨きをかけて綺麗にしておいた

 いつか
 仙人掌みたいな花が咲くかもしれない



 夢をみたかい

 忘れないうちに息を継いで
 夏空に打ち上げたフライに
 夢みたとおりの放物線に
 いっそ誇りを持てるように

 走れ





 20100712