「廃棄処分」





 割れた爪先の鋭利さを思うと
 知らないうちに欠けていった
 多くの死骸の夢をみる

 あんな立派な嘘だったのに
 もう跡形もないやと笑って

 かつての努力をぜんぶ
 なかったことにして

 夜が明けないうちに
 壊してしまわなければならない



 防腐剤のにおいがする

 捨てきれなかったんだ
 弱虫があける穴の余地さえ
 残さないはずだったのだけれど







 20100715