「その神話を砕きたい」





 双子座のアステリズムが揺れて
 だれも不思議に思わないまま
 秘密が踏み固められたまま
 そのうちあやふやになること

 さびしくても知っているし
 判り切っている



 そこに本当はなにもないよ
 生かしておいた憧れが
 芽吹きを忘れられないだけだよ

 もうそろそろ目を開けたいんだ
 今より少し薄い虹彩でもって
 めまぐるしい色々を認めたいんだ



 蠍座のアンタレスが赤いことを
 証明理由にしたいと思う

 それこそが正しくって
 水のおこぼれなどなくたって
 ちゃんと脈打っていられるんだって







 20100715