「トゥモロー」





 舐めあった傷が膿んで
 あまく、受粉を誘うのを
 ちらと見下ろしながら
 晩御飯のメニューを考える

 吹かなかった隙間風の
 通い路にたたずんでいる

 雑踏へと隠した種は
 とうに追い遣られてしまったよ
 なかったことにならなくとも
 芽吹かないことにするしかないよ
 出逢えないぼくたちに
 さようなら、は生まれないよ

 旅立てない根無し草は
 カルキの匂いを飲下しながら
 朝御飯のメニューを考える






 20100820