「ちいさな美意識」





 遠くまで見渡せる
 透けて光の色が届く

 握り締めた宝物は
 ずっと透明なままです

 割れそうに震えながら
 音をたててみても
 ひびさえ入らないような
 かたくなな透明さです

 大切にしすぎて
 うまく飲み下せずに
 いつまでも輝くものだから
 距離のあいた水晶体と
 喧嘩してばかりいます



 そのうち濁ってしまって
 延々と続く坂道を転がり始めて
 届かなくなる前に砕けたいわ

 内側の屈折を取り払って
 ただしいをただしく受け取って
 淡くやわらかく泣きたいわ






 20100914