「ちいさな世界」





 繋いだ手の頼りないこと

 溢れかえるやさしさたちの
 表と裏が分かるようになって
 疑わず抱き締めていたものが
 急におそろしくなりました

 こちらへ傾けられた水晶体
 結ばれる像など知りもしないで
 ひとつひとつを同じと思った
 あなたとわたしの見る夢も



 海ばかりの世界はきっと
 重力の所為で零れられない
 相容れなさが生んだ涙だわ

 わたしの細胞では足りないほど
 せつなさの死骸がたゆたうのだわ






 20101025