「虹彩」





 疲れ目なんてお構いなし
 睫毛の先で未来がおどる

 まぶたを閉じようものならば
 夢がチカチカ爆ぜてゆく



 やつらは輝く絵筆でもって
 焦点を焼き切らないよう
 とても慎重になりながら
 網膜ごと染め上げるんだ

 心の近くでうねりたくる三原色に
 汚れていた透明が磨かれてしまう
 朝がくることよりも自然な産声に
 おちおち眠っていられないんだ

 聴こえていたんだろう
 落ちていった涙の遺言



 さあ
 いよいよ空が晴れわたる
 虹を見つけに行こうか






 20101104