「白い朝」





 未明の冷たさの正体は
 実はまだよく分からない

 毛布の端で生きていた昨日は
 とうとう何処にも見あたらず

 限りなく真新しくて
 侵し難く張り詰めていて
 見通せないほど白い色をしている



 泣くな 泣くな

 かつて世界を知ったとき
 始まりを喜んだ咽喉だ
 もう泣かないでいい



 もういちどだけの深呼吸

 肺いっぱいに冬を教えたなら
 痛いほどかき集めた眩しさが
 わずかずつ投影されるだろう

 熱のひかない瞼をあけて
 さあ 色づいてゆけ



 一秒先はいつだって未来だよ






 20101222