「カンバス」





 わたしはあなたの何なのか

 むず痒く思ったまま
 火傷を燻ぶらせたまま
 殴り描いては破り捨て
 ここまで来ました

 積もらない雪の代わりに
 然様なら、を敷き詰めた

 願いも打算も期待も愛も
 要らない 知らない
 一面の白

 踏み越えた先でまた描けるなら
 痛い痛い、は飛んでゆける
 そう信じて新しい絵筆を握ります

 使い古したパレットナイフが歌う
 あなたはわたしのカンバスでした





 201102??