「しのびこむ月」





(まだ来ない)

 軒先で待ちわびていると
 足元ばかりが照らされて
 身の竦むおもいをする

 生まれてはじめて
 思い切り近づけた夜に
 その場の限りを尽くし

 祈る、独り善がる、



(来られない)

 光ばかり喰らってきたあなたに
 時間を掴むことすらできないわたしは
 しのびこまれる

 直線上の取り決めを
 吐いたのも
 呑んだのも
 一個のわたしであり
 わたしだけであった



(来ようともしない)

 おもいかえせば
 分かち合えるものなど
 はじめから、なにひとつ、





 201104??