「宛先不明」





 いつからか
 宙ぶらりんのまま揺れる

 際限をなくした振り子が
 頭の端から端までを行き来して
 ぶつかるたび反響する
 わたしは反芻する



 とうの昔に
 言語中枢あたりで首を吊っていた、
 らしかった

 手渡されずに
 投げつけられずに
 捨ててやれずに
 看取ってやれずに

 いつのまにか
(かわいそうに、ねぇ)



 わたしは下でじっと待っている
 揺れ疲れて
 腐り落ちてしまうのを
 反芻しながら待っている





 20110407