「恋をしていた」





 いちめんの草いきれに走る
 風、風、ひかり、

 晴れた空があふれてきて
 目の前ぜんぶが青になった
 青いひとたちの歩き方を真似た

 内側から息吹く
 生まれたての心
 毒されたように眦をゆがめる
 懸命に、笑った顔をおもいだす



 そんなふうに
 つたない、おぼつかない、
 ふりをした、わたしたち

 青さのあまり駆けだして
 夕焼けを迎えに行ったまま

 今もまだ帰らない





 201104??