「夏日とガナッシュ」





 傷痕から錆びた味がした

 ざらつきを吐き出すついでに
 甘いと聞いていたから
 放り込んで口をふさいだ

 青く匂う落葉樹に
 果実の影はないけれど
 夕陽のせいで幻をみた

 熟した期が手折られ
 歩道を渡れなかった



 暮れる
 真昼が落ちる
 幼さによる罪は還り
 頬に巣喰うガナッシュがとける



 喉が渇いたな





 20110609