「日向」





 透けた緑色に
 手指を見たてて笑う様は
 好きだった誰しもの頬に息衝いていた

 あの日向を思うと
 水含みのよい心から陽炎が生まれるのに
 曖昧を嫌うのだ、空も、アスファルトも、
 色濃く隔たれてしまって
 溶けてゆけない

 肺の悲鳴を吐き出す代わり
 入道雲をちぎって食べる

 もとより、極彩色にも音はない





 20110710